Side EFFECTS LAB

OF THE UNIVERSITY OF TOKYO
中井悠 主催
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おしらせ

2024年12月5日

中井が今年9月にノルウェー北部のロフォーテン国際芸術祭にて上演した《Island Eye Island Ear(SVINØYA version)》の素晴らしいレヴューを、日本から「批評家」として同行した札幌在住の主夫である渡辺洋さんが書いてくれました。「島々の時々」という題でTokyo Art Beatに掲載されています。

2024年11月18日

中井悠が訳した『調査的感性術——真実の政治における紛争とコモンズ』の刊行をきっかけの一つとして東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科(毛利嘉孝研究室+清水知子研究室|ポストメディア・リサーチ・ネットワーク)にて組織化された研究会に招かれて、中井が「プレテクスト:感性術の翻訳/翻訳の感性術」と題した報告とディスカッションを11月27日(水)の19:00-21:00に東京藝術大学音楽学部上野キャンパスで行ないます。こちらはセミクローズドな会ですが、問い合わせが相次いでいるため、オンラインでも配信することにしました。また10名程度であれば対面で参加することができます。関心がある方はこちらのフォームからお申し込みください。

2024年11月12日

美術家・批評家の岡崎乾二郎さんが中井悠の訳した『調査的感性術——真実の政治における紛争とコモンズ』を美術批評家連盟創立70周年記念アンケートで「これまでの美術評論でもっとも印象的なもの」として選んでくださいました。その理由を述べた回答は、同書の素晴らしい書評になっています。

2024年10月5日

エヤル・ヴァイツマンとマシュー・フラーが2021年に書いた『Investigative Aesthetics』という書籍の中井悠による翻訳が『調査的感性術——真実の政治における紛争とコモンズ』というタイトルで水声社から出版されます。「エステティクス」をあらゆる存在物が持つ(自らの変形を通した)感知の作用と拡張的に定義した上で、それら無数の「センサー」を組み合わせることによって、国家権力が存在を否定する市民への暴力を出来事として再構築し、事件として成立させるアプローチが多くの事例とともに描き出されています。翻訳自体は二年前に大方終えていたものの、さまざまな理由から棚上げになっていたいわくつきの仕事で、色々と思うところはあるにせよ、無事に世に出すことができてホッとしています。ウクライナやガザでいま起こっていることに反応する実践的かつ理論的回路がここから紡ぎ出されることを願っています。

2024年9月20日

オスロを拠点とするROM for kunst og arkitekturが発行するオンライン・ジャーナルMETODEの最新号に《IEIE, Reflected, Reflected》と題した基調論考を書きました。Island Eye Island Earの50年越しの実現に向けたここ数年の取り組みを振り返りながら、構想の中核に置かれた「振り返ること=reflection」の意味を北海道鴎島でのリアライゼーションと札幌国際芸術祭におけるVRヴァージョンの作成と絡めて論じています。また「ヴァーチャル・リアリティー」という言葉とチュードアの意外な接点、十七世紀イギリスにおける王立楽団の解体と実験主義の台頭の間にある密かな結びつき、そして副産物の連なりによって辿られる歴史を「小噺」として語り直すことの検討などを、「小噺」の群島として組み立てました。このジャーナルは公募で集めた全ての執筆者が基調論考を踏まえて自分のテクストを書くことになっているので、そちらも出来上がりが楽しみです。

2024年9月10日

ロサンゼルスのゲッティーセンターで9月10日から2月23日まで開催されるSensing the Future: Experiments in Art & Technology(EAT)展のカタログに新しいEAT論を書きました。「The Missing Parts: EAT Records (and Sets the Record Straight)」というタイトルで、現在のEATをまとめているジュリー・マーティンの人となりを軸に、EATの活動における実験と記録の関係、そして「正しい」歴史に向けて記録を訂正し続けることの意味を論じていますが、全体としてはジュリーへのラブレターのような文章になっています。10月にはチュードア作品を演奏するコンサートも開催されます。

2024年9月1日

オーストリアのグラーツで開催される「Speculative Sound Synthesis Symposium(思弁的サウンドシンセシス学会)」にて中井が9月27日に「Remembrances of Things Past, No.2」と題した基調講演を行ないます。チュードアが晩年に取り組んだ、当時最先端のニューラルネットワークチップを使ったシンセサイザープロジェクトを取り上げながら、一般的なニューラルネットの理解に真っ向から対立するようなチュードアのアプローチや、そこから垣間見える「シンセシス」という操作に絡みつく記憶/忘却の不確定性をある種の「寓話」として浮き彫りにすることで、最近またもや話題になっている人工知能と創造性の問題をすこし斜め上から捉え返すパースペクティブを提示する予定です。

2024年8月23日

ノルウェー北部で開催されるロフォーテン国際芸術祭で、島を丸ごと楽器化するチュードアの未完プロジェクト「Island Eye Island Ear」の新しいヴァージョンを9月21日と22日に発表します。2月の札幌国際芸術祭におけるVRヴァージョンに続く試みですが、今回はサウンドビームに加えて、プロジェクトのオリジナルメンバーだったジャッキー・マティス・モニエの凧と、マーガレータ・アズバーグの鏡を使ったダンスも入った拡張版になります。21日には関連シンポジウムも開催されます。

2024年7月13日

昨年、paraというスペースに呼ばれて、「作品」とはなにかを考えるシリーズの一環として中井がやった「無題(仮)」という題名のレクチャーを公開します(一年間は公開しないという約束の期限が切れたので)。

2024年5月21日

副産物ラボではここ一年ほど「墓」という誰もが遅かれ早かれ何らかのかたちで折り合いをつけることを余儀なくされる特異な人工物を「影響」というレンズを通して研究してきました。残された生者たちの共同体論に絡めとられがちな墓を、自分の生を超えた効果を不確定な未来に及ぼすための「影響の装置」として捉えなおすことで炙り出される隠れた作用のネットワークを多角的に読解するため一連の「墓の影響学」セミナーを開催します。最初の回は昨年行なった小沢健二さんのセミナー(「イメージの影響学 aka 900番講堂講義」)と今回の墓の問題系をつなぐ蝶番的な役割を担っています。対面とオンラインのハイブリッドで行ないますが、どちらも事前申込制ですので関心のある方はぜひフォームを送ってください。

2024年4月1日

昨年度から「実際にあった実験音楽」の歴史や理論や実践を語りつつ、それを踏まえて学生たちが「あり得たかもしれない実験音楽」を構想・空想・妄想する「偽実験音楽史」という授業を中井が前期課程向けに教えていますが、その成果をまとめたウェブサイトが立ち上がりました。この授業は中井が大学を去るまで毎年開講するつもりなので、うまくいけば数十年かけて壮大な偽史が構築されるとともに、真偽の線引き自体が次第にあやふやになっていくことを夢想しています。

2024年4月1日

中井が委員長をつとめる東京大学ピアノ委員会の主催で、ピアニストの井上郷子さんによるプリペアード・ピアノにフォーカスした演奏会を5月17日(金)に駒場で行ないます。ピアノの鍵盤と同じ数の88人を定員にしたので、ご関心があればぜひお申し込みください。またアルブラソンと同じく楽器の「からくり」にフォーカスを当てた企画のため、井上さんにお願いして希望者はプリパレーションの過程を見学できるようにしました(先着10名)。数時間かかるプロセスですが、色々と面白い発見があると思うので、こちらもぜひご参加ください。

2024年3月1日

中井が主任をつとめるアヴァンギャルドアート部会の主催でアメリカの楽器制作者/音楽家のDaniel Fishkinによる「arbrasson(アルブラソン)」という不思議な楽器の制作ワークショップを3月15日(15:30 - 18:30)に駒場キャンパスで行ないます。フランスのマジシャンが発明し、意気投合したダニエルに作り方を教えたものの、九年間は売ってはならず、その間はワークショップで作り方を世界に広めることに集中するという契約を交わしたという曰くつきの楽器です。定員が10人なので、すぐに埋まってしまいそうですが、どなたでも参加できますので関心があればぜひお申し込みください

2024年1月30日

中井悠がここしばらく北海道を舞台に取り組んできたデーヴィッド・チュードア未完のプロジェクト《Island Eye Island Ear》の実現可能性を模索するSide Projectの成果発表会《IEIE, Reflected: Phase 4|ヴァーチャル・グラウンド》を2月17日から18日にかけて札幌国際芸術祭にて行ないます。昨年11月に鴎島で行なったテストランの記録を中井が徹底的に再編集したヴァーチャル・リアリティ作品《Virtual IEIE(去年鴎島で)》を北海道大学工学部の360度ヴァーチャル・リアリティ・シアターで上演し、その傍らで約二年間に及ぶ島探しの途中で巡り合った様々な方を一堂に集めて、このプロジェクトを行なう過程で生じたもろもろの副産物たちを連結していく《ヴァーチャル・グランド・ホテル》という長時間シンポジウムを開催します。

2023年11月23日

中井悠が美術家の水内義人さんと一緒にアーティストトークを行います。エアコンや空気清浄機を作っているダイキンがお金を出している講座シリーズの一環で、空気とアートの関わりをテーマにということだったので、「体の中の空気たち」と題して屁という現象を最近のプロジェクトに絡めるパフォーマンスをすることにしました。東京大学駒場キャンパスの18号館ホールで12月6日の18時45分から。

2023年11月3日

サイドプロジェクトの一環としてIsland Eye Island Earの「テストラン」を北海道の江差町にある鴎島で11月25日と26日に行ないます。そのあと札幌市民交流プラザで、IEIEを来年度発表するノルウェーのロフォーテン国際芸術祭のキュレーターなども参加する関連シンポジウム「IEIE, Reflected: phase 3: なんぴとも孤島にあらず:クナーヴェルシェアから鴎島へ(1974-2024)」を開催します。

2023年7月10日

12月に行なった東京現音計画とのコラボレーションで行なったZOOMUSICコンサートに関する「プレテクスト/思い出話」が表象文化論学会のオンラインジャーナル《REPRE》に掲載されました。コロナ禍における3年越しのプロジェクトの経緯を辿る内容になっています。

2023年6月13日

副産物ラボが主催する「影響学セミナー」の第6セミナーとして9月30日(土)に音楽家の小沢健二さんをお呼びして「東大900番講堂講義」(《イメージの影響学》)と題した、新作教科書と音楽演奏のある「アトラクションのような講義」を駒場キャンパスの900番講堂で行なっていただきます。関心がある方は、選抜がありますので特設受講申込ページから応募してください。

2023年3月14日

4月5日6限 (19:00~20:30)に副産物ラボを含む文理融合ゼミナール「研究入門」の共通ガイダンスをオンラインで行ないます。各教員2~3名程度の配属となります。詳細はこちらをご覧ください。

2023年3月1日

3月4日の17時から、paraという東京の新しい演劇スペースで中井悠が「無題(仮)」という題名のレクチャーをします。「作品」とはなにかを考えるシリーズの一環として呼ばれました。概要と申込方法はこちらから。

2023年2月25日

『現代思想』3月号(ブルーノ・ラトゥール特集)に、中井悠が「アリのラトゥール化(反省ループ一周分の遅れ」という論文を寄稿しています。久しぶりに日本語でまとまった文章を書きました。

2023年2月2日

12月に東京現音計画と開催したZOOMUSICコンサートの映像を限定公開しています。

2023年2月1日

北海道で進めている、デーヴィッド・チュードアの未完プロジェクト《Island Eye Island Ear》の今日的な実現可能性を探るSIDE PROJECTの一環として、札幌文化芸術交流センターで昨年の夏に引き続き二度目の展示を行ないます。今回は「ロケーション・ハンティング」というテーマのもと、これまでに探検した島の情報とともに、いく先々で出会った専門家の方とのインタヴューを調査の副産物として展示します。

2023年1月29日

ベルリンで開催中のCTMフェスティヴァルの一環として、2月2日に中井悠が「Karmic Relationships, Accelerated: Influences and Incidents in India (and Beyond)」と題したレクチャーを行ないます。詳細はこちらから。

誰何

中井悠が東京大学で主催する
副産物ラボ(s.e.l.o.u.t.)では、
副産物や副作用などの現象に
注意を向けることで、
パフォーマンスの物理的/非物理的な
インフラを探求しています。

研究

パフォーマンスと副産物の問題系を軸に、そこから派生したり、そこで束ねられたりする関連領域の研究を進めています。

パフォーマンス

様々な形式のパフォーマンスを制作・実演しつつ、色々な現象をパフォーマンスという観点から捉えています。

出版

発見したこと、制作したこと、構想したことを、多様なプラットフォームを使って、世界に向けて公開しています。

中井 悠

No Collectiveのメンバーとして音楽(家)、ダンスもどき、お化け屋敷、わらべ歌などを世界各地で制作、
出版プロジェクトAlready Not Yetとして実験的絵本や子供のことわざ集などを出版。

制作のかたわらで実験・電子音楽、影響や癖の理論などについての研究を行なう。
デーヴィッド・チュードアの音楽の研究書Reminded by the Instruments: David Tudor’s Music(オックスフォード大学出版局、2021年)を出版。

東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)+芸術創造連携研究機構准教授。
令和4年度東京大学卓越研究員

未来

パフォーマンスなどの公演、レクチャーなどのイベント、書籍や論文などの出版物の予告
研究

プレテクスト:
感性術の翻訳/翻訳の感性術

日時:2024年11月27日(水)19:00-21:00
場所:東京藝術大学音楽学部上野キャンパス国際交流棟4FGA講義室

『調査的感性術:真実の政治における紛争とコモンズ』(中井悠訳)の刊行をきっかけの一つとして組織化された研究会に招かれて中井が報告を行ないます。セミクローズドの研究会ですが、関心のある方10名程度であれば対面で参加することができます。また別途当日はZOOMによるオンラインの配信も行いますので、こちらのフォームでお申し込みください。

討議者:毛利嘉孝(東京藝術大学教授)
清水知子(東京藝術大学教授)
四方幸子(キュレーター、批評家)
水嶋一憲(大阪産業大学教授)
長谷川愛(アーティスト、慶應義塾大学准教授)
日高良祐(京都女子大学講師)

主催:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科 毛利嘉孝研究室+清水知子研究室 ポストメディア・リサーチ・ネットワーク(Post-Media Research Network)

出版

調査的感性術:
真実の政治における
紛争とコモンズ

日時:2024年10月10日
場所:水声社

エヤル・ヴァイツマンとマシュー・フラーが2021年に書いた『Investigative Aesthetics』という書籍の中井悠による翻訳が『調査的感性術——真実の政治における紛争とコモンズ』というタイトルで水声社から出版されます。「エステティクス」をあらゆる存在物が持つ(自らの変形を通した)感知の作用と拡張的に定義した上で、それら無数の「センサー」を組み合わせることによって、国家権力が存在を否定する市民への暴力を出来事として再構築し、事件として成立させるアプローチが多くの事例とともに描き出されています。翻訳自体は二年前に大方終えていたものの、さまざまな理由から棚上げになっていたいわくつきの仕事で、日本の出版事情に関して色々と思うところはあるにせよ、無事に世に出すことができてホッとしています。ウクライナやガザでいま起こっていることに反応する実践的かつ理論的回路がここから紡ぎ出されることを願っています。

出版

IEIE, REFLECTED, REFLECTED

日時:2024年9月10日
場所:METODE

オスロのROM for kunst og arkitekturが発行するオンライン・ジャーナルMETODEの最新号に、基調論考として頼まれた《IEIE, Reflected, Reflected》というタイトルのエッセイが掲載されます。二年前にベルギーのオルフェウス・インスティトゥートのオンライン・ジャーナルECHOに発表した《Late Realization》の続編的なテクストとして、デーヴィッド・チュードアが1974年に構想したものの、彼の生きているうちに実現に至らなかった島を丸ごと楽器化するプロジェクト《Island Eye Island Ear》の50年越しの実現に向けたここ数年の取り組みを振り返りながら、構想の中核に置かれた「振り返ること=reflection」の意味を北海道鴎島でのリアライゼーションと札幌国際芸術祭におけるVRヴァージョンの作成と絡めて論じています。また「ヴァーチャル・リアリティー」という言葉とチュードアの意外な接点、十七世紀イギリスにおける王立楽団の解体と実験主義の台頭の間にある密かな結びつき、そして副産物の連なりによって辿られる歴史を「小噺」として語り直すことの検討などを「小噺」の群島として組み立てました。

出版

The Missing Parts: E.A.T. Records
(and Sets the Record Straight)

日時:2024年9月10日-2月23日
場所:Getty Research Institute、ロサンゼルス

ロサンゼルスのゲッティーセンターでExperiments in Art & Technology(EAT)展が開催されます。当初は企画委員会に呼ばれてコンサートの内容なども決めたものの、途中で嫌気がさしてバックれたためすこし複雑な気持ちですが、カタログ用に新しいEAT論を書きました。「The Missing Parts: EAT Records (and Sets the Record Straight)」というタイトルで、現在のEATをまとめているジュリー・マーティンの人となりを軸に、EATの活動における実験と記録の関係、そして「正しい」歴史に向けて記録を訂正し続けることの意味を論じていますが、全体としてはジュリーへのラブレターのような文章になっています。10月にはチュードア作品を演奏するコンサートも開催されます。

研究

Remembrances of Things Past, No.2

日時:2024年9月27日|16:30-
場所:グラーツ国立音楽大学、オーストリア

オーストリアのグラーツで開催される「Speculative Sound Synthesis Symposium(思弁的サウンドシンセシス学会)」にて中井が「Remembrances of Things Past, No.2」と題した基調講演を行ないます。チュードアが晩年に取り組んだ、当時最先端のニューラルネットワークチップを使ったシンセサイザープロジェクトを取り上げながら、一般的なニューラルネットの理解に真っ向から対立するようなチュードアのアプローチや、そこから垣間見える「シンセシス」という操作に絡みつく記憶/忘却の不確定性をある種の「寓話」として浮き彫りにすることで、最近またもや話題になっている人工知能と創造性の問題をすこし斜め上から捉え返すパースペクティブを提示する予定です。ちょうど十年前にカリフォルニア大学バークレー校で同じ「ネタ」を使った発表を行なったので、そのときのタイトルを使い回しつつ、発表というパフォーマンス自体にもシンセシスをめぐる記憶と忘却の問題を畳み込もうと思っています。もう一人の基調講演者であるM. Beatrice Faziもコンピュテーションに内在する不確定性について面白い研究をしているので楽しみです。

パフォーマンス

IEIE, SVINOYA

日時:2024年9月21-22日|12:00-15:00
場所:SVINOYA島、ロフォーテン、ノルウェー

ノルウェー北部で開催されるロフォーテン国際芸術祭で、島を丸ごと楽器化するチュードアの未完プロジェクト「Island Eye Island Ear」の新しいヴァージョンを発表します。2月の札幌国際芸術祭におけるVRヴァージョンに続く試みですが、今回はサウンドビームに加えて、プロジェクトのオリジナルメンバーだったジャッキー・マティス・モニエの凧と、マーガレータ・アズバーグの鏡を使ったダンスも入った拡張版になります。またサウンドの方も北海道のプロジェクトを一緒に進めてきたSIAFラボの面々に加えて、デンマークのサウンドアーティストであるヤーコブ・キルケゴールが新たに参加します。舞台となる島に一年ほど通って録りためた音素材を使います。21日には関連シンポジウムも行ないます。

研究

《墓の影響学》セミナー

日時:2024年6月4日、19日、7月5日|19:00-
場所:東京大学駒場キャンパス18号館コラボ1

副産物ラボでは「影響」という掴みどころのない説明原理を研究するため、特定のトピックを「影響」というレンズを通して考察することで、概念の振る舞いの輪郭を間接的に捉える方法論を採用しています。ここ一年は「墓」という誰もが遅かれ早かれ何らかのかたちで折り合いをつけることを余儀なくされる特異な人工物をテーマにしてきました。残された生者たちの共同体論に絡めとられがちな墓を、自分の生を超えた効果を不確定な未来に及ぼすための「影響の装置」として捉えなおすことで炙り出される隠れた作用のネットワークを多角的に読解するため一連の影響学セミナー開催します(最初のセミナーは前回の小沢健二さんのセミナー(「イメージの影響学」)と今回の墓の影響学をつなぐ蝶番的な位置付けです)。対面でもオンラインでもお越しいただけたらうれしいです。申し込みはこちらから。

パフォーマンス

プリペアード・ピアノのからくり

日時:2024年5月17日|19:00
場所:東京大学駒場キャンパス音楽実習室

1930年代後半にジョン・ケージが発明した(とされる)プリペアード・ピアノは、通常のピアノの弦にボルトなど様々な物体を挟むことで、各鍵盤に対応する音の響きを変えた楽器です。一台のピアノを打楽器アンサンブルに作り替える妙案として始まった試みは、ピアノという西洋音楽の中心に位置する楽器を相手どった様々な解体実験の先駆けとなり、サンプリングなどにおけるキーボードというインターフェースの捉え直しにも大きな影を投げかけました。中井が委員長をつとめる東京大学ピアノ委員会では、特殊奏法の第一人者であるピアニストの井上郷子さんをお呼びし、プリペアード・ピアノとピアノの両方を含むプログラムを通じて、プリパレーションという手法を考え直すコンサートを開催します。ケージの大作《プリペアード・ピアノのためのソナタとインタリュード》の全曲演奏という貴重な機会の傍らに、プリペアード・ピアノの登場以降に書かれた現代ピアノ曲を添えることで、それらの「アンプリペアード性」を浮かび上がらせる少し捻れた音楽会です。ピアノの鍵盤と同数の観客を先着順に受け付けます。また希望者(先着10名)はプリパレーションの過程を見学できます。

パフォーマンス

アルブラソンのからくり

日時:2024年3月15日|15:30-18:30
場所:東京大学駒場キャンパス1号館109教室

アメリカの楽器制作者/音楽家のDaniel Fishkinによる「arbrasson(アルブラソン)」という不思議な楽器の制作ワークショップを行ないます。フランスのマジシャンが発明し、意気投合したダニエルに作り方を教えたものの、九年間は売ってはならず、その間はワークショップで作り方を世界に広めることに集中するという契約を交わしたという曰くつきの楽器です。ダニエルによるアルブラソンの歴史についての簡単な講義とデモンストレーションのあと、参加者は両刃鋸やカンナなどの簡単な手工具を使って、自分だけのアルブラソンを作るための基礎を学びます。モデレーターとして西原尚さんと中井が参加します。先着順に参加希望者を受け付けます(10名まで)。

パフォーマンス

IEIE, REFLECTED:
PHASE 4:
Virtual Ground

日時:2024年2月17-18日
場所:北海道大学工学院

2022年から北海道を舞台に展開してきた《IEIE》の実現に向けた取り組みの成果発表として、2023年11月に江差町・鴎島で実施したテストラン(予行演習)の記録を構成しなおしたVR作品《Virtual IEIE(去年鴎島で)》を、北海道大学工学院の360度VRシアターにて限定公開します。また同じ取り組みの副産物として、プロジェクト実現のために奔走した北海道の先々で出会った人々が一堂に会する特別シンポジウム《Virtual Grand Hotel》を開催します。鴎島のテストランをVRとして追体験可能にすることで、半世紀という時を超えた《IEIE》の「実現/記録/再生」を、構想の中核に置かれた「ヴァーチャル」や「リフレクション」などのテーマと絡めて問い直し、二年に及んだ「サイド・プロジェクト」の落とし所を仮構します。

パフォーマンス

体の中の空気たち—Doing Air through Farts

日時:2023年12月6日|18:45-20:30
場所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール

エアコンなどを作っているダイキンがお金を出してアーティストを呼ぶ講座シリーズ「アートを通じて空気をする—Doing Air Through Arts」の一環として、中井悠が講演を行います。「空気」をテーマに制作活動について語ってくれというリクエストだったので、島の楽器化プロジェクトを中心に最近の制作について話しながら、「ヴァーチャル・リアリティー」という概念をひねくり回そうと思っています。「現代アーティスト」を呼んで制作について語らせた上で、その制作者の語りを「相対化する」批評家とセットにするという企画で、誰か批評家を選んでくださいと言われたため、関西アンダーグラウンドシーンを牽引する美術家/音楽家で最近「屁評家」を名乗っている友人の水内義人さんを呼ぶことにしました。要事前申込です。

パフォーマンス

IEIE, REFLECTED:
PHASE 3:
なんぴとも孤島にあらず:クナーヴェルシェアから鴎島へ (1974-2024)

日時:2023年11月27日|18:25〜20:30
場所:札幌市図書・情報館1階サロン

1970年代にデーヴィッド・チュードアが構想した《Island Eye Island Ear》の今日的実現可能性を北海道を舞台に追求する「サイド・プロジェクト」の一環として、2023年11月末に江差町・鴎島におけるテストラン(予行演習)の実施とともに、来年夏に同じプロジェクトを「初演」する予定のロフォテン国際芸術祭(ノルウェー)のディレクターやキュレーターを札幌に招待し、《IEIE》の過去と現在と未来をめぐる国際シンポジウムを開催します。

研究

影響学セミナー
《イメージの影響学》
小沢健二
「東大900番講堂講義」

日時:2023年9月30日
場所:東京大学駒場キャンパス900番講堂

副産物ラボが主催する「影響学セミナー」の第6セミナーとして音楽家の小沢健二さんをお呼びして「東大900番講堂講義」(《イメージの影響学》)と題した、新作教科書と音楽演奏のある「アトラクションのような講義」を行なっていただきます。関心がある方は、選抜がありますので特設受講申込ページから応募してください。

現在

中井が個人もしくは学生や他の研究者とともに取り組んでいる進行中の研究や企画
研究

影響の流出史

合理的に説明できない関係を説明するために乱用される「影響」というオカルト的な概念の由来を探る考古学的調査。インフルエンティアから、インフルエンザを経由して、インフルエンサーまで。【大学院授業】【令和4年度「東京大学卓越研究者」採択研究】

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影響学ジャーナル

「影響」という概念を実践的に研究するプラットフォームとして、国際影響学会の運営と影響学ジャーナルの編纂を行なっています。この出版物では毎号、特定のテーマに「影響」というレンズを通して多角的に焦点を当てていきます。

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出版
研究

影響学セミナー

令和四年度「東京大学卓越研究」に「影響概念の流出史」が採択されたことを受けて、一連の《影響学セミナー》を開催します。

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研究

経験の上演

「パフォーマンス」という、アートはもちろん、ビジネスでもテクノロジーの分野でも乱用されている概念のルーツを、経験論の系譜、とりわけプラグマティズムのさまざまな展開にたどりながら、今日におけるその実践的有効性を探る。【後期課程授業】

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パフォーマンス

アルシ・コレオグラフィーズ

人間のクセを個人につけられた無意識の振り付けのネットワークとして対象化し、参加者同士の相互観察と反省を通じてダンスを引き算的に発見する試み。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

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パフォーマンス

(偽)実験音楽史

「実験音楽」の歴史と問題系を振り返りながら、ありえたかもしれない実験音楽の歴史と問題系を二十数年間にわたって構想・空想・妄想しつづける試み。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

特設ウェブサイト
研究

サイド・プロジェクト

北海道を拠点にデーヴィッド・チュードアの未完の作品 Island Eye Island Ear の現在における実現可能性を探りつつ、そのような探求が生み出す副作用や副産物にも耳目を傾けていく長期プロジェクト。

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出版

9 EVENINGS 再ブッキング

芸術と工学を結びつけた1966年のイベントを、開催直後に計画され放棄された記録本の原稿をもとに、それからの半世紀という時間の流れも考慮に入れつつ、二重化された記録の記録として顧みる。

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パフォーマンス

ZOOM音楽

コロナ禍において実験音楽を教えるやりきれなさをどうにかするために、ZOOMでしか演奏と視聴ができない音楽を制作する教育的エクササイズのシリーズ。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

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出版

「調査的感性術」翻訳

エヤル・ヴァイツマンとマシュー・フラーによる「調査的感性術」のマニフェスト的な書籍、またその他のフォレンジック・アーキテクチャー関連の出版物の翻訳。

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研究

マテリアル・バイアス

電子回路を正常に作動させるために必要なバイアスを拡張するかたちで、音楽パフォーマンスを実現するために介在するさまざまなマテリアルを制約という否定的観点から理論化する試み。

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研究

チュードア・ルネサンス

ベルリンにおける10日間のチュードア・フェスティバル、イスタンブールにおけるチュードア・ラボの設立計画など、中井の本を起点として世界各地で進行中のチュードア関連プロジェクトの数々。

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ヴァーチャル・レジデンシー

ヴァージニアの作曲家と東京の演奏者を隔てる時間と言語の差を調整する「消滅する媒介者」としてふるまいながら、zoom固有の音楽コンサートを遠隔操作で制作していくコラボレーション。

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パフォーマンス

過去

パフォーマンスなどの公演、レクチャーなどのイベント、書籍や論文などの出版物の記録

REMINDED BY THE INSTRUMENTS: 
DAVID TUDOR'S MUSIC
[2021.3]

これはデーヴィッド・チュードアという名前の音楽家がなにをやったか、そしてそのようなことをどのように、またなぜやったかについての本です。そしてときおり、なにかをやったとき彼が考えていたのかもしれないことについての本でもあります。そのようなことを書くために、チュードアがあとに残したたくさんのマテリアルをあたかも巨大なパズルのピースであるかのように組み合わせていきました。重要なことは、全体像がそのようなプロセスの内側から、ある種の副産物や副作用として立ち上がるということです。だから読んでいない人にむけて手短な概観を述べるときはいつも、なんだかズルをしているよう気持ちになるのです。書いた自分からすると、いちばん重要なことは、個別のパズルをひとつずつ解いていく過程にあり、その帰結として浮かび上がるかもしれない哲学や理論や図式ではありません。その意味で、これはすこしパフォーマンスに似た本かもしれませんが、もしそうだとしたら、デーヴィッド・チュードアという類い稀なパフォーマーの研究書にふさわしいことでしょう。

SOUNDING THE PERIPHERIES
[2021.7]

ザルツブルグの近代美術館で開催されたデーヴィッド・チュードア展のカタログ用に新しいエッセイを書きました。チュードアがケージとの最後のコラボレーション・プロジェクトになったOceanのために手がけたSoundings: Ocean Diary (1994)という作品の詳細な分析を通じて、Reminded by the Instrumentsにおいては議論の周縁にわざと追いやったトピックである、チュードアとケージのあいだの個人的な関係を掘り下げています。作品分析を通じて、ケージの音楽観のチュードアによるかなり特異な翻訳を明らかにしたあと、長期にわたる二人の友人関係を記録する謎めいた一連の証拠が読者に示され、その解読が呼びかけられます。

ZOOMUSIC NO.1
[2021.7]

東京大学の前期過程向け文理融合プログラムで担当している授業の履修生によるZOOM音楽コンサートを行ないました。

MONOBIRDS: FROM AHMEDABAD TO XENON
[2021.10]

1969年12月にデーヴィッド・チュードアは、インドのアーメダバードにある国立デザイン研究所に当国初の電子音楽スタジオを設立しました。その際、アメリカから持ち込んだモーグ・シンセサイザーを使って演奏を行ない、一連の録音を作り出しました。そして10年後の1979年3月にチュードアは、みずからが《Monobird》と名付けた、インドから持ち帰った録音のひとつを入力音源として使った無観客のコンサートをニューヨークのXenonというディスコで行ないました。そのコンサートの録音も、それからずっと未発表のままアーカイブに眠っていました。2017年ごろ、サウンド・アーティストのヤーコブ・キルケゴールが、Xenonコンサートを企画したE.A.T.のジュリー・マーティン宅で79年の録音を発掘しました。同じカセットをゲッティー・センターのチュードア・アーカイブで発掘していた中井が調査したところ、この録音の音源がチュードアのインド滞在にまで遡れることがわかりました。そこで、ジュリーを入れて三人で、この録音をリリースすることを考えはじめました。

キルケゴールが主催するデンマークのTOPOSからリリースされたこのアルバムは、アーメダバードで録音された《Monobird》音源と、その録音を入力音源としたXenonのパフォーマンスの録音を2枚のLPレコードにまとめ、それらの関係と歴史を分析する中井による20ページの長編論考《When David Tudor Went Disco》をセットにしたものです。200枚限定で売り出されましたが、すぐに完売したようです。【リンク】

【soundohmによって2021年度のベスト・リリースに選ばれました】

MIGRATION OF MONOBIRDS
[2021.10]

インドのアーメダバードにある国立デザイン研究所のアーカイブ機関とともに、1960年代から70年代にかけてのインドにおけるE.A.T.の活動を振り返る国際ヴァーチャル連続会議を開催しました。7月30日より隔週の金曜日の夜(19:30 IST=日本時間 23:00)に発表があり、中井は最後の10月1日に登壇しました。

発表はデーヴィッド・チュードアが1969年末にアーメダバードでモーグ・シンセサイザーを用いて制作した奇妙な録音(Monobird)の奇妙な「遍歴(migration)」をたどる話と、そのような自分の研究自体が、もとを辿ればインドにおけるE.A.T.の活動の遠い副産物とみなせるという「話の話(story of the story)」の二段階の構成になっています。

その後、この国際会議のレポートを表象文化論学会のニュースレターに書きました(「アーカイブのゆとり」参照)。MIT出版からこの会議の記録を含む本が近いうちに出版される予定です。

東大新聞インタヴュー
[2022.1]

卓越研究員に選ばれたことで、東大新聞の佐竹真由子さんにインタヴューを受けました。
一時間くらいあれこれ話したことが、とてもわかりやすく、みじかくまとめられています。
【リンク】

LATE REALIZATIONS
[2022.1]

ベルギーのオルフェウス・インスティトゥートから発行されている新しいオンライン・ジャーナルECHOのフィードバック特集号になにか書いてくれと頼まれたので、とりわけゴードン・ムンマのサイバーソニックスとサイバネティックスにおけるフィードバックに対するアプローチの違いを背景に据えながら、チュードアにおけるフィードバックに対する考えの変遷を辿りつつ、最後はそのような観察をしている自分の立ち位置を、No Collectiveの作品におけるフィードバックの事例を考察することで、論述自体の再帰的運動に巻き込んでいくようなエッセイを書きました。タイトルは「(フィードバックにおける)気づきの遅れ」と「後期作品の演奏」をかけています。

また内容にはあまり関係ないかもしれないですが、今回はジャーナルから、ページ・デザインも著者が自分でやってくれと言われました。すこし面倒だったものの、これまでろくでもないデザイナーに勝手にデザインされることにそのつど反発したり我慢したりしてきた身からするととてもうれしいことで、このさきオンライン・ジャーナルの多くはそのようになっていくような気がしました(でもウェブデザインの経験がない研究者は困りそう)。【リンク】

ZOOMUSIC NO.2
[2022.2]

東京大学の前期過程向け文理融合プログラムで担当している授業の履修生によるZOOM音楽コンサートを行ないました。
たまたまだけど、今回はピアノがかなり演奏できる学生が集まったため、ピアノ曲が多くなりました。

サイド・プロジェクト立ち上げシンポジウム
[2022.2]

三年間にわたって北海道で展開するサイド・プロジェクトの立ち上げシンポジウムを札幌で行ないました。中井はIsland Eye Island Earについてまとまった話をしたあと、キュレーターの明貫紘子さんの司会で、SIAFラボの小町谷圭さん、北海道大学CoSTEPの朴炫貞さん、そして多摩美の久保田晃弘さんとディスカッションをしました。

UTOKYO BIBLIO PLAZA
[2022.2]

東京大学教員の著作を著者自らが語る広場で、Reminded by the Instrumentsについて語りました。
たぶん現時点で日本語で出ている唯一の紹介だと思います。
【リンク】

アーカイブのゆとり:インド国立デザイン研究所アーカイブ機関「EXPERIMENTS IN ART AND TECHNOLOGY: INDIA 1960s & 70s」国際連続会議レポート
[2022.3]

2021年夏に参加したインド国立デザイン研究所主催の国際連続会議についてのレポートを表象文化論学会のニュースレターに書きました。
【リンク】

REMINDED BY 
"REMINDED BY THE
 INSTRUMENTS"
[2022.3]

イタリア音楽学会の電子音楽研究グループRISMEに呼ばれて、Reminded by the Instruments をめぐるオンライン討論会に参加しました。音楽は楽器によって思い起こされるものだとするホイットマンの詩の一節をタイトルに掲げた本を書き終えてから三年が経ち(300点以上の画像の著作権をクリアするのに時間がかかったため、書き終えてから出版までに相当時間がかかった)、そのあいだに書いた内容をけっこう忘れてしまったことを踏まえて、今回のイベントに向けた(楽器ならぬ?)本の再読によって思い起こされたことを軸に、イタリアの学者の質問に答えるかたちで、書いたことや書かなかったことについてあれこれ話しました。

MATERIAL BIAS
[2022.5]

中井悠が執筆した「Material Bias」というチャプターが含まれた
Material Cultures of Music Notation: New Perspectives on Musical Inscription
がRoutledgeから出版されました。

REMINDED BY THE INSTRUMENTS書評
[2022.6]

昨年オックスフォード大学出版局から出版したReminded by the Instrumentsの長編レヴューが、
Computer Music Journal(MIT出版)とチェコ共和国のオンラインジャーナルHis Voiceに掲載されました。
ひとつはEzra J. Teboulによって英語で書かれ、もうひとつはJozef Cseresによってチェコ語で書かれていますが、
どちらもけっこう細かく念入りに分析してくれています。
【You Nakai: Reminded by the Instruments (Volume 45, Issue 1)】
【Intermedium Tudor I】【Intermedium Tudor II】

島の耳目をそばだてる:「SIDE PROJECT:《Island Eye Island Ear》再考とその副作用」ログ(A)
[2022.7]

表象文化論学会のオンラインジャーナルREPREに現在、北海道で進めている「サイドプロジェクト」に関するログを寄稿しました。
【島の耳目をそばだてる】

郷に入らさると:「SIDE PROJECT:《Island Eye Island Ear》再考とその副作用」ログ(B)
[2022.7]

SIAF(札幌国際芸術祭)ラボのウェブサイトに現在、北海道で進めている「サイドプロジェクト」に関するログを寄稿しました。
【郷に入らさると】

ZOOMUSIC
[2022.12]

東京現音計画に呼ばれて、「クリティックス・セレクション」という枠でZOOMUSICコンサートを企画・実演しました。

KARMIC RELATIONSHIPS, ACCELERATED
[2023.2]

ベルリンで開催されたCTMフェスティヴァルの一環としてデーヴィッド・チュードアとインドの関係を中心に据えつつ、「カルマ」という概念を軸にしながら、その前日譚たる神智学/人智学など西洋神秘主義とインドとの交錯の歴史を振り返り、その後日譚として生じた一連の副産物を辿るレクチャーを行ないました。

芸術と技術の100年:
中井悠のデーヴィッド・チュードアと影響学
[2023.3]

メディア・アーティストの久保田晃弘さんにこれまでの研究や副産物ラボの活動についてインタヴューを受けました。いま考えていることややっていることをとてもよく掬いあげてもらいました。
【前編】 【後編】

プレテクスト:「東京現音計画#18|クリティックズ・セレクション2:中井悠|ZOOMUSIC」思い出話
[2023.7]

表象文化論学会のオンラインジャーナルREPREに、2022年12月に東京現音計画と行なったZOOMUSICコンサートの思い出話を寄稿しました。コロナ禍における三年越しのプロジェクトを振り返る内容になっています。
 【プレテクスト】

無題(仮)
[2023.3]

昨年3月に中井がparaというスペースに呼ばれて、「作品」とはなにかを考えるシリーズの一環として「無題(仮)」という題名のレクチャーをおこないました。一年間は公開しないという契約の期限が切れたので公開します。日本では珍しく、デーヴィッド・チュードア研究を中心に据えた発表になっています。

IEIE, REFLECTED, REFLECTED
[2024.9]

オスロを拠点とするROM for kunst og arkitekturが発行するオンライン・ジャーナルMETODEの最新号に基調論考を書きました。デーヴィッド・チュードアが1974年に構想したものの、彼の生きているうちに実現に至らなかった島を丸ごと楽器化するプロジェクトIsland Eye Island Earの50年越しの実現に向けたここ数年の取り組みを振り返りながら、構想の中核に置かれた「振り返ること=reflection」の意味を北海道鴎島でのリアライゼーションと札幌国際芸術祭におけるVRヴァージョンの作成と絡めて論じています。また「ヴァーチャル・リアリティー」という言葉とチュードアの意外な接点、十七世紀イギリスにおける王立楽団の解体と実験主義の台頭の間にある密かな結びつき、そして副産物の連なりによって辿られる歴史を「小噺」として語り直すことの検討などを、「小噺」の群島として組み立てました。二年前にベルギーのオルフェウス・インスティトゥートのオンライン・ジャーナルECHOに発表した《LATE REALIZATION》の続編的なテクストでもあります。このジャーナルは公募で集めた全ての執筆者が基調論考を踏まえて自分のテクストを書くことになっているので、そちらも出来上がりが楽しみです。【リンク】

REMEMBRANCES OF THINGS PAST, NO.2
[2024.9]

オーストリアのグラーツで開催されたSpeculative Sound Synthesis Symposium(思弁的サウンドシンセシス学会)にて中井が9月27日に行なった基調講演の記録映像です。チュードアが晩年に取り組んだ、当時最先端のニューラルネットワークチップを使ったシンセサイザープロジェクトを取り上げながら、一般的なニューラルネットの理解に真っ向から対立するようなチュードアのアプローチや、そこから垣間見える「シンセシス」という操作に絡みつく記憶/忘却の不確定性をある種の「寓話」として浮き彫りにすることで、最近またもや話題になっている人工知能と創造性の問題をすこし斜め上から捉え返すパースペクティブを提示したつもりです。

プレテクスト:感性術の翻訳/翻訳の感性術
[2024.11]

東京藝術大学にて中井が11月27日に行なった、『調査的感性術:真実の政治における紛争とコモンズ』の翻訳をめぐる報告の記録映像です。この翻訳の出版プロセスにおける出版社とのコンフリクトを振り返りながら、Aestheticsという言葉(固有名)を「感性術」と訳すことに賭けられたパフォーマティブな意味作用を、その原語の翻訳史を「美学」という誤訳を踏まえつつ、十八世紀のバウムガルテンまで遡って検討し、そこから翻って「翻訳」という営み自体の感性術的側面を浮かび上がらせました。

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