中井が執筆した700ページを超える世界初のデーヴィッド・チュードアの研究書が、2021年3月にオックスフォード大学出版局から出版されたことを受け、世界中でチュードア関連の展示やコンサートなどが繰り広げられています。2021年7月にオーストリアのザルツブルグではじまったチュードアの初回顧展を皮切りに、同年8月から10月にかけてチュードアがかつて電子音楽スタジオを設立したインドの国立デザイン研究所が主催する国際シンポジウム・シリーズが行なわれ、同じく10月にはチュードアの未発表音源がデンマークのTOPOSからリリースされ、2022年7月にベルリンで予定されているデーヴィッド・チュードア・フェスティヴァル、そしてイスタンブールに設立予定のチュードア・ラボ、また2023年にゲッティー・センターで開催予定の展示など、チュードア・ルネサンスとでも呼べるような同時多発的な展開が進行中です。
個人的には本を出したことで研究にひと段落がついたので、別の方向性を探りたいとも思っているのですが、本からこぼれ落ちたトピックを拾うという意義もあるし、本をリソースとして使ってなにかをやろうとしている人たちと関わりたい気持ちもあるので、いまのところこれらの催し物にはすべてなんらかのかたちで参加しています。