関連授業
文理融合プログラム/身体と芸術
「Archi-Choreographies」(2021〜)
口癖、手癖、怠け癖、思考壁、酒癖、難癖、曲者、潔癖、寝癖、癖が強い、など、日本語の「クセ」という言葉は、単なる「習慣(habit)」には収まらない広がりを持つ不思議な概念です。こうしたさまざまな「クセ」を、当人が知らない間に身体や思考に植え付けられた根源的な「振り付け(コレオグラフィー)」とみなし、拡張されたダンスの問題として捉えています。そしてなかなか自分では気づかないそのような身体や思考の偏りを、他者との相互観察を通じて探り合い、個々のクセの来歴を明らかにしたり、それを人に移したりすることで、個人の「その人らしさ」という感覚がどこで生み出され、どのように変容しうるかを検証する授業やワークショップを行なっています。新しい振付を考えることでダンスをいわば足し算的につくる通常のアプローチとは逆に、各自が気づかないうちにすでに踊っている振付を露わにすることで引き算的にダンスを浮かび上がらせる試みです。
東京大学において文系理系を問わない前期過程(1、2年生)向けの授業を行ないながら、東京大学の卓越研究員制度からのサポートを受け、授業の成果を書籍の形にまとめていく方向性も探っています。またイタリアの研究者とのコラボレーションで、このアプローチをアーカイブの問題と結びつける研究もはじまっています。